九州大学 整形外科学教室
九州大学大学院医学研究院臨床医学部門
外科学講座整形外科学分野

専門グループ紹介
肩関節グループ

肩関節グループの診療は、竹内直英、小薗直哉で担当しています。新患日は月・木・金です。肩関節は、ものを持ち上げる、衣服の着脱、ボールを投げるなどの日常動作において重要な関節の一つです。そのため、肩関節痛や上肢の挙上困難といった症状は、日常生活動作を大きく制限する一因となります。
 

私たちが担当する疾患は、下記に記すとおりです。

・鏡視下肩腱板修復術 ・人工肩関節全置換術 (変形性肩関節症、関節リウマチ)

・リバース型人工関節置換術 (広範囲腱板断裂、腱板断裂性肩関節症)

・反復性肩関節脱臼に対する鏡視下Bankart修復術

・骨折観血的手術(上腕骨近位端骨折、鎖骨骨折、肩甲骨関節窩骨折など)
また、手術後のリハビリテーションは、専属の作業療法士と共に、可動域訓練や筋力増強訓練を行っております。適切な手術治療と段階的なリハビリテーションを提供することで、痛みを軽減し、肩関節機能を最大限に回復できるように努めています。

 

患者さんの求めていること、希望していることを正しく理解し、最善で安全な医療を行うことが我々の使命であると考えます。そして患者さんに安心して医療を受けていただき、信頼していただけるように努めていきます。私たちは、肩関節外科手術を的確に行うことのできる医師の育成にも力を入れています。

 

代表的な疾患とその治療内容

〇肩腱板断裂

腱板断裂は、中高年に多く見られる肩関節疾患の一つです。腱板断裂の原因は、加齢による変性と外傷が考えられます。50歳以降になると、腱板の変性が進み、腱板断裂が生じます。腱板断裂により上腕を挙上するときの痛みや、上腕を挙げにくいといった症状が出現します。腱板断裂の治療は、まず鎮痛薬や注射療法(ヒアルロン酸、ステロイド)などの保存治療を行います。しかし、3ヶ月以上の症状が続く場合は、腱板修復術の適応となります。当院では、鏡視下腱板修復術(Suture bridge)を行っております。鏡視下腱板修復術は、1cm程度の小さな皮膚切開を5ヶ所加え、関節鏡下に専用のアンカーを用いて腱板を修復する低侵襲手術です。この手術により上腕挙上時の痛みを改善することが期待できます。

 

術前MRI:棘上筋断裂(+)                                        術後単純X線撮影

 

断裂した棘上・棘下筋                 腱板にアンカー糸を通す            腱板修復後(Suture Bridge法)

 

腱板断裂性関節症、腱板広範囲断裂

腱板断裂を放置すると、上腕骨頭が上方に移動し、上腕骨と肩甲骨の適合性が悪くなり、

関節が傷んできます。そうなると、肩関節の痛みや肩が挙がらない症状を認めます。

腱板断裂後に関節症性変化を生じた腱板断裂性関節症や腱板が広範囲に断裂し、肩関節の挙上が困難な70歳以上の患者さんには、リバース型人工肩関節置換術を行っております。

この手術により肩関節の痛みが軽減し、上腕の挙上を改善することが期待できます。

 

術前単純X線撮影                                         術後単純X線撮影

 

術後7ヶ月

 

〇変形性肩関節症

肩関節の軟骨が変性すると、肩関節の痛みや挙げにくい症状が出現します。鎮痛薬や関節内注射などの保存治療を行っても症状が改善しない患者さんに対して、人工肩関節全置換術を行っております。人工肩関節全置換術は除痛効果に優れ、また肩関節の動き(可動域)を改善することが期待できます。

 

術前単純X線           術前CT                            術後単純X線撮影       術後1年

 

〇反復性肩関節脱臼

反復性肩関節脱臼は、初回の肩関節脱臼後に比較的小さな外力で肩関節が容易に脱臼する症状が特徴的です。原因は、前下方の関節唇損傷が考えられます。また、上腕骨頭と関節窩の損傷で関節窩前下方に骨欠損(骨性Bankart lesion)や、上腕骨頭の後外側の陥没(Hill-Sachs lesion)を認めることがあります。当院では、脱臼不安定感が持続する患者さんに対して、関節唇修復術(鏡視下Bankart法)を行っております。

 

MR関節造影: 前下方関節唇損傷(+)

 

断裂し弛緩した前下関節上腕靭帯    断裂した関節唇を把持             アンカー糸で関節唇を修復

 

(文責:竹内 直英)