九州大学 整形外科学教室
九州大学大学院医学研究院臨床医学部門
外科学講座整形外科学分野

留学だより
Danke für ein Jahr!(1年間ありがとうございました)

留学先機関名:Berufsgenossenschaftliche Unfallklinik, Tübingen

氏名:桑島 海人

 

平成18年卒の桑島海人と申します。平成29年10月より、ドイツのTübingenにあるBerufsgenossenschaftliche Unfallklinik (BG klinik)で1年間留学をさせて頂いています。Tübingenはメルセデンスベンツ、ポルシェのミュージアムがあるシュツットガルトから電車で1時間ほど南に移動した人口9万人程の比較的小さな街です。しかしながら、Tübingen大学はヨーロッパで最も古い大学の1つで人口の3分の1は学生ということもあり、街中はいつも若い学生で夜遅くまで賑わっています。また、少し歩くと自然もたくさんあり、治安もいいのでとても過ごしやすい街です。BG klinikには様々な国からfellowが来ていて、日本からも時折AO fellowshipで先生方が来られています。

 

左:Tübingenの中心を流れるネッカー川。天気のいい日には川辺で多くの学生がビールを飲みながらくつろいでいます。
右:ネッカー川にかかる橋からの風景。晴れた日の夕暮れはとても綺麗です。ただ、夏は夜9時過ぎまで明るいです。

 


自宅から歩いて5分の小高い丘には羊が放牧されています。

BG klinikは大学病院のすぐ隣にある施設で、外傷を中心に毎日30件を超える整形外科手術が行われております。指導者のSchröter先生は関節鏡手術と膝周囲骨切り術を専門としており、AOのJoint Preservation and Osteotomy Expert Groupの1人で、臨床だけでなく研究・教育にも力を入れておられます。ドイツでは助手として手術に参加することも可能なため、日中はSchröter先生の手術に参加したり外来を見学したりする傍ら、一緒に症例を検討したりデータを使った臨床研究を指導してもらったりしています。ドイツの病院なので当然院内ではドイツ語がメインですが、私は全くと言っていいほど分かりません。レジデントを含め皆英語が堪能で私には英語で話しかけてくれるのですが、英語もままならない自分の語学力のなさを痛感する毎日です。ただ、手術器具に関しては『メス』や『セーレ』など日本でも聞きなじみのある単語が飛び交っており、些細な部分かもしれませんが日本とドイツの歴史的なつながりを感じます。

Schröter先生はfellowに対してとても優しく、冬には自宅でのクリスマスパーティーに招待してくれたり夏には一緒に旅行に誘ってくれたりと、とても楽しい時間を過ごすことができました。また、様々なカダバーセミナーやレクチャーにも一緒に参加させて頂き、多くの先生方とディスカッションすることができて非常に貴重な経験になりました。

 

左:Schröter先生の自宅でのクリスマスパーティー。後ろのクリスマスツリーは本物のモミの木でした。

右:Schröter先生の愛車、ポルシェ。アウトバーンでは助手席で最高時速290㎞を体感させて頂きました・・・

 

左:手術風景。ドイツ語は分かりませんが何とか助手をしています。

右:日本から病院見学に来られた先生方と記念写真。

 

イギリス・ニューキャッスルでのOsteotomy masterclassにて。プレミアリーグに所属するニューカッスルの本拠地であるサッカースタジアムで開催されました。

 

Facultyとして発表する機会も頂きました。

 

ドイツ人は基本的にまじめで仕事はしっかりとこなしますが、その分プライベートの時間をとても大切にします。留学先の先生方も年に合計1ヶ月以上は休暇をとっており、夕方になったら仕事を切り上げてすぐに帰っていきます。日本でもこういったメリハリをつけて仕事に取り組む姿勢は参考にできればいいなと感じました。また、ドイツ国内は高速道路・鉄道をはじめとした交通網が発達しており、EU圏内は国境もフリーで越えれることもあって、週末の休みを使って様々な場所へ気軽に行くことができます。12月にはドイツ各地でクリスマスマーケットが開催されていて、本場の雰囲気を楽しむことができました。ドイツ国内の他にもフランス、イタリア、イギリス、オランダ、オーストリア、チェコなど他のヨーロッパ諸国へも比較的簡単に行くことができ、様々な国の文化に触れることができました。これもヨーロッパ留学の醍醐味の1つではないかと思います。

 

左:ケルンのクリスマスマーケット。雪が降ってとても寒かったですが、夜の大聖堂とライン川に架かるホーレンツォレルン橋は圧巻でした。

右:ドイツとフランスとの国境の街、シュトラスブールのクリスマスマーケット。ツリーもイルミネーションもとても綺麗で、多くの人で賑わっていました。

 

院内のスキーツアーで行ったドイツ最高峰のツークシュピッツェ山。ゴンドラに乗って10分足らずで頂上まで登れます。

 

左:空中に飛び出た展望台。
右:頂上に設置された記念碑。この日は晴れていて気温は-3℃前後でしたが、翌週は-30℃になっていました。

 

左:『最後の晩餐』。ミラノにて。

右:ヴェネチアのリアルト橋

 

左:『モナリザ』。パリにて。

右:一風堂 in パリ。一風堂はロンドンにもありました。

 

これまで九州から出たことのなかった自分にとって、ドイツでの1年間は日本とは全く違う文化や考え方に触れることができ、すべてが驚きと感動の連続でした。初めのうちは全く分からないドイツ語で水1本買うのにも苦労しましたが、今ではこの1年間はとても貴重な時間であったとしみじみ感じております。また、同時にドイツで生活する中で日本の良さや大切にすべきところも改めて考えることができました。この留学で得た経験を帰国後も日々の診療に生かしていきたいと思います。ドイツに留学することができて本当に良かったです。このような素晴らしい環境で勉強する機会を与えて頂いた岡崎教授、中島教授、留学前及び留学中に数多くお力添えを頂いた林田先生、水内先生をはじめ全ての先生方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。