九州大学 整形外科学教室
九州大学大学院医学研究院臨床医学部門
外科学講座整形外科学分野

留学だより
La Jolla便り

The Scripps Research Institute

戸次 大史

 

2017年4月から2019年3月までアメリカ合衆国サンディエゴ市La Jollaのスクリプス研究所にて軟骨のagingに関する研究を行ったためご報告します。

 

La Jollaの魅力

La Jollaはスペイン語 “la joya”が語源で宝石を意味します。陽気な街の雰囲気、ハワイのような温暖な気候、澄み切ったエメラルド色の空はまさに宝石です。ビバリーヒルズの地価を超えたという噂も納得できます。30分運転すれば世界有数のテーマパークにアクセスできるので、どこに遊びに行くかを決めるのが嬉しい悩みです。

Ja Jollaではバイオクラスターが形成されており、言わばサイエンティストの街です。PhDやラボのコネクションが簡単に作れます。カリフォルニアでは、情報やマテリアルをシェアする考えが浸透しているため、他のラボが喜んでコラボしてくれます。また近くにRadyというビジネススクールがあり、ビジネスマンや官僚ともネットワークができるのが魅力です。日本では医療以外で交流の場が少なかったので、私にとっては良い経験でした。このようにサンディエゴは、研究するにも、家族との時間を過ごすにも、自分の活動の場を広げるにも最高の環境であることは間違いありません。

 

研究について

ボスのMartin Lotzは変形性関節症(OA)に関する基礎研究の第一人者です。私は、軟骨における時計遺伝子とFOXO転写因子の役割について研究を行なっています。前者では、時計遺伝子の発現が乱れると関節に良くない、という仮説を検証しています。時計遺伝子は注目されているトピックですし、またその分野の権威, Steve Kayとコラボレーションしているため、ボスが最も力を入れているポロジェクトです。マウスの体内時計がベースとなるため早朝深夜に研究室に行く日も続きましたが、優秀なボスとスタッフのおかげで何とか投稿に至ることができました。

もう1つのFOXO遺伝子は、アンチエイジング遺伝子です。同門の赤崎先生が「FOXOの発現低下がOAと関与する」という画期的な論文を出されてから、ボスはFOXOに愛着があるようで生涯の研究テーマとしています。私の役目は、ヒト軟骨を用いたchip-seqの手法を確立して、FOXOと関係のある遺伝子を抽出することです。優秀なバイオインフォのコラボレーターのおかげで少しずつ形になっており、こちらもいずれ形にできたらと思っております。

 

教室への感謝

最高の環境に留学できて本当に幸せな2年間でした。留学を機会に日本各地の医師と知り合う機会がありましたが、全員口をそろえて「九大整形は羨ましい」と言っていました。具体的には、同門には留学をご経験された先生が多いため事前に情報収集がしやすく、助成金申請に関しても複数の先生から助言を頂けました。また留学期間や留学先についても医局から強制されることなく個人の希望を反映して頂きました。私事ながら、私は大学院と留学のブランクで6年間臨床から遠ざかっており帰国後の勤務がとても心配だったのですが、中島教授と医局長が今の私の状況を考えた上で充実した研修先を決めてくださいました。本当に素晴らしい教室です。これからは、留学中に得た知識や体験、コネクションを活かし、教室の発展に貢献したいと思います。岩本幸英名誉教授、中島康晴教授をはじめ、私の留学を支援してくださった同門の皆様に深謝いたします。