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脊髄損傷におけるIII型コラーゲン-Gpr56経路を介した新規治療法の開発

具体的内容:

末梢神経は損傷しても徐々に再生しますが、脳や脊髄などの中枢神経はほとんど再生しません。そのため脊髄損傷後には四肢麻痺などの後遺障害が生じ、多くの患者さんが苦しんでいます。これは脊髄損傷後、損傷部に細胞外マトリクス(生体の細胞外に含まれる不溶性物質、各種コラーゲンなどを含む)とアストロサイト(神経系を構成する細胞の1つ、中枢神経で最も多い細胞)から構成される瘢痕組織が形成されるためであると言われています。我々は現在までにアストロサイトが周囲から遊走し(Okada et al. Nature medicine 2006)、I 型コラーゲンによって瘢痕化される(Hara et.al. Nature medicine 2017)ことを報告してきましたが、なぜ損傷部にアストロサイトが集簇する かは明らかになっていませんでした。我々は現在までに瘢痕内に含まれるIII 型コラーゲンがアストロサイトのG蛋白質共役受容体56(生体内に存在する受容体の一つ、多くの亜型を持ち、これを利用した薬剤は多い)に結合することで、アストロサイトの遊走が抑制され、損傷周囲に集簇することを明らかにしました。この研究結果から、III 型コラーゲン-G蛋白質共役受容体56経路を阻害する薬剤を用いて脊髄損傷の新規治療開発を目指しています。

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