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具体的内容: 寛骨臼移動術(Transposition osteotomy of the acetabulum: TOA)を施行した159例、172股の発育性股関節形成不全(DDH)を対象にTHA conversionをエンドポイントとしたときの累積関節温存率を調査した結果、術後20年で79.7%であった(図)。過去の骨盤骨切り術の報告では術後20年で60~80%と言われており、当科の成績は良好で

具体的内容: TOAを施行された227人を対象に満足度を調べた結果、84%の患者さんが満足しておられました(図1)。統計解析から、より高い満足度には、術後の疼痛軽減と日常生活やスポーツにおける活動性の向上が関連していました。また、術前病期は満足度の予測因子であり、股関節症の進行度に応じた術式選択が重要であることを報告しました(Harada T, Hamai S, et al. Orthopedic

具体的内容: 進行期股関節症に対するTOAの長期成績を調査した結果、THAへの移行をendpointとした生存率は15年で80%、20年で59%でした。BMI>24kg/m2が15年以内にTHAへ移行する有意な影響因子であり、関節温存術を検討する際に、年齢(60歳以下)や単純X線所見(外転位で、関節裂隙が開大、関節適合性が改善)などに加えた、patient inclusion/exclusi

寛骨臼形成不全に伴う二次性の変形性股関節症 (OA)が多い我が国において、寛骨臼移動術に代表される骨盤骨切り術の意義は依然として大きく、その長期成績は安定しているといえます。しかし、寛骨臼移動術後のスポーツ活動を認めるかどうかについては意見が分かれるところです。というのも、術後にスポーツをすることで、OAが悪化し、人工股関節置換術への移行が必要になるかもしれないという危惧があるからです。そのため、

発育性股関節形成不全(DDH)における寛骨臼のversionと大腿骨前捻、それらの和であるcombined anteversion(CA)の臨床的な病的意義として、疼痛発症年齢との関係を検討した結果、特にCAが大きいほど若くして発症しており、CAは生体股関節においても有用な指標であることを報告しました(Kohno Y, Nakashima Y, et al. CORR 2015)。また、大腿骨he

成人DDH患者の矢状面骨盤傾斜と股関節応力の関連について有限要素モデルを用いて検討した結果、骨盤の後傾に伴い関節軟骨の接触面積は減少し、接触圧力・相当応力は上昇することを報告しました(図1, Kitamura K, Fujii M, et al. Clin Biomech 2020)。また、寛骨臼移動術の骨片移動方向について3次元的シミュレーションを行った結果、側方回転のみでは19%の症例で前上方

成人DDH患者に対するTOA前後の関節接触圧力について、術前後のCT画像を用いて有限要素解析を行った結果、術後の関節接触圧力は98.0%の症例で術前よりも改善し、64.7%の症例で関節接触圧力は正常化(< 4.1 MPa)しました。術後に関節接触圧力を正常化するためには、手術の際に十分な前方被覆を得ること、過剰な側方回転を避けることが重要であることを報告しました(Kitamura K, Fu

九州産業大学生命科学部(日垣秀彦教授)との共同研究で、イメージマッチング法を用いた高精度の股関節三次元動態解析を行っています。発育性股関節形成不全(DDH)に対して寛骨臼移動術(TOA)を施行する際に、健常股関節の前方被覆を目標とすることで、術後に二次性のインピンジメント(FAI)や疼痛を生じることなくスクワット動作が可能であり、TOAにおける前方被覆の指標をin vivoで初めて提示した研究とな

Femoroacetabular impingement(FAI)は、臼蓋大腿骨の形態異常に起因する病態ですが、特に深屈曲動作での疼痛誘発が特徴であり、骨形態だけではなく股関節動態を加味した評価が重要です。イメージマッチング法により、FAIに対する骨軟骨形成術前後のインピンジメント及びクリアランスの視覚化を行いました(図1) (Yoshimoto K, Hamai S, et al. Skelet

座位およびしゃがみ姿勢からの起立動作時における三次元的な健常部占拠率の動的変化を、ARO前後の骨頭壊死股で動態解析を行いました(図)。寛骨臼月状面に被覆される骨頭面積に占める骨頭健常部の面積の比を被覆ベースの三次元健常部占拠率(IRLC)、動作中におけるpeak force vector円柱が通る骨頭面積に占める骨頭健常部の面積の比を力学ベースの三次元健常部占拠率(IRFV)として、その動的変化を

THA後には患者自身が本物の関節のように感じることが理想的です。THA後患者318名を対象として、術後のjoint perceptionについてアンケート調査を行った結果、約半数(52%)の患者が本物の関節のように感じていました(表)。THA後に違和感なく本物の関節のように感じるには、術後疼痛の軽減や、車の乗り降り動作の改善が重要であることを報告しました(Shiomoto K, Hamai S,

THA後患者285名を対象に満足度を調べた結果、95%の方が手術に満足しており、約半数(48%)の方では非常に高い満足度が得られていました。統計解析の結果から、より高い満足度には日常生活やスポーツにおける活動性の向上が有意に関係していました。第138回西日本整形・災害外科学会学術集会の特別企画学生セッションにて報告し、Excellent presentation awardを受賞しました(兪 鶴揚

高齢化社会の到来により、変形性関節症に代表される関節疾患は増加しています。関節症が進行すると、痛みのために歩行障害をきたし、日常生活に著しい制限が生じてしまいますが、人工股関節置換術は、その痛んだ関節を人工物で置換することにより、劇的に痛みを緩和する手術です。当科におけるTHA術前後のスポーツ活動を調査し、TOAを施行された患者さんと年齢や性別などの患者背景をマッチングさせ、スポーツ参加率、活動性

ゴルフはTHA術後にプレーされることが多いスポーツで、多くの整形外科医はTHA術後にゴルフをプレーすることを患者さんに許可していますが、ゴルフスイング中の人工股関節の動態は不明で、脱臼の危険性などプレーを許可してよいか決定するエビデンスは乏しいのが現状です。そこで、イメージマッチング法を用いて、THA術後ゴルフを行っている患者さんのゴルフスイング時におけるTHA動態解析を行いました。37%に脱臼の

九州産業大学生命科学部(日垣秀彦教授)との共同研究で、イメージマッチング法を用いた股関節の動態解析を行っています。イメージマッチング法はCTから作成した3次元骨モデルとX線画像を重ね合わせることで、これまで解析不能であった6自由度での関節動態を一連の荷重動作において解析できる方法です(図1)。我々は、生体膝関節および人工膝関節の三次元動態解析が可能なプログラムを開発しており、低侵襲かつ極めて高い精

股関節に関節症変化を伴わない症例群のCTデータを用いて、臨床で参照されうる複数の骨盤基準軸の冠状面・横断面での精度を評価しました。冠状面では臼蓋上縁、涙痕下端、上前腸骨棘、閉鎖孔上縁、閉鎖孔下縁、坐骨下端の順、横断面は寛骨臼後縁、寛骨臼前縁、上前腸骨棘、坐骨後縁の順に精度が高く、いずれも骨頭レベルにより近い順で精度が高い結果でした。症例に応じて両上前腸骨棘よりも骨頭レベルにより近い基準軸を参照する

イメージマッチング法を応用して、THA術中X線写真におけるカップ設置角度をコンピューター上で数値化する方法を開発しました。計測誤差は前方開角で平均2.5度程度、外方開角で平均0.7度であり、従来の視覚的判断と比べて十分に有用な方法でした(第45回日本関節病学会学術集会奨励賞受賞、Kawahara S, et al. Bone Joint Res 2020)。飯塚病院との共同研究であり、現在術中に簡

歩行動作におけるcup・head間のtranslationを解析(図)した結果、その変化量は僅かであり、THA術後も通常は股関節の動的安定性・求心性が得られていることを報告しました。軟部組織緊張を今後評価する上でのベースラインデータになると考えています(Kiyohara M, Hamai S, et al. Eur J Orthop Surg Traumatol 2019)。

九州産業大学生命科学部(日垣秀彦教授)との共同研究で、THA術前後のスクワット動作を解析した結果(図1)、術前の股関節可動域制限は術後有意に改善しており、適切なcup設置であれば最大屈曲時にもcup・stem neck間に十分なクリアランスがあることを報告しました(Komiyama K, Hamai S, et al. J Orthop Surg Res 2018)。更に、THA前後の椅子起立動作

THA術後のスクワット動作に関するアンケート調査を行ったところ、7割の患者は術後半年以内にスクワット可能であり、スクワットを行っていない主な原因は脱臼への不安感であることが分かりました。そこで、脱臼の原因であるインピンジメントがスクワット動作において生じているか否か?を検証するために、股関節三次元動態解析を行いました。結果、スクワット動作ではインピンジメントは生じておらず、危険の少ない安全な動作と

3D-CADソフトを用いTHAの術後可動域に関するシミュレーションを行っています。THAの術後脱臼に影響を及ぼす重要な因子としてインピンジメントがあり、図1のように骨同士やインプラント同士、もしくはインプラントと骨とのインピンジメントまでの角度を可動域と定義します。日常生活に必要な可動域を満たすための、インプラント設置の条件を明らかにすることを目的としています(Komiyama K, Nakash

THA術後も椅子起立動作は安全にほとんどの患者が行っている動作です。しかしながら不意な肢位をとった際に脱臼は起こりえます。そこで九州産業大学生命科学部(日垣秀彦教授)及び北九州工業高等専門学校(池部怜准教授)との共同開発したオリジナルのシミュレーションソフトウェアを用いて、THA術後のin vivo生体内データ(インプラント設置・股関節動態)に内外旋角を変化させる解析した結果(図1)、インピンジメ