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研修先での生活
基幹研修施設での研修:九州大学病院
一週間のスケジュール
  • 術後カンファレンス、病棟総回診、
    教授新患外来補佐
  • 手術
  • 手術
  • 手術
  • 術前カンファレンス、手術
  • オンコールまたは休み
  • オンコールまたは休み
月〜金のどこか1日は終日外勤
九州大学病院でのロ―テートの特徴として、専門性の高い診療を幅広く、しかも深く学ぶことができるという点と、臨床研究をしっかりと経験できるという2点が挙がります。

まず1点目の専門性の高い診療では、市中病院ではなかなか遭遇することのできないような難しい症例を、教官の先生方と丁寧に検討しながら経験していきます。九大病院での守備範囲は、股関節、膝関節、肩・手・肘を含む上肢の外科、脊椎、腫瘍、足、関節リウマチ、小児整形に加え、救急部での多発外傷など多岐に及びます。

大学病院でのロ―テート期間中は、これらの入院患者さんの主治医として、教官の先生方と協力しながら診療を進め、術前計画をしっかり立てて術前カンファレンスに臨みます。カンファレンスは大学病院ロ―テートの醍醐味の1つであり、プレゼンテーション能力を高めることができます。カンファレンスで建設的な討論を交わしたのち、手術に向かいます。

大学病院では市中病院とは異なり、ローテーター自身が執刀する機会は限られますが、その分、各領域の専門の先生方の手術手技を日常的に体感することでき、次に市中病院へロ―テートした際、疾患や手術に対する理解度が格段に増していることに気づきます。物事を上達させるためには、手を動かして練習することに加え、よく勉強し、経験のある先生方の手技を真似し、自分のものにしていくことが重要であると大学病院のロ―テートで体感することができました。

術後カンファレンスでは術中所見をまとめ、要点をプレゼンテーションすることで、手術手技を復習することができ、次に同じような症例が来られた際にとても役に立ちます。

術後リハビリテーションを立案し、転院または退院まで後療法を安全に進めていきます。大学病院では、術前に日常生活動作が高度に制限された患者さんが多くおられますが、術後快方に向かい、患者さんのうれしそうな姿をみると、また頑張ろう、という気持ちになると思います。大学病院のロ―テート期間中は、手術適応の見極めや手術計画、手術の実際、後療法を丁寧に学ぶことができ、懐の深い整形外科医になるために大変有益な期間となります。

大学病院でのロ―テートにおける2点目の特徴である臨床研究では、自分の興味がある分野の教官と相談してテーマを決めていきます。半年に1度、病棟医による研究発表会があり、非常に活発な議論が交わされ、理解を深めていきます。院内での発表に留まらず、学会でも発表し論文化するという一連のプロセスを経験することで、リサーチマインドを醸成し、市中病院へロ―テートした際にも大きな糧となります。

最後に、同年代の数多くのローテーターと共に過ごす時間も多く互いに刺激を受け、高め合う環境があることも大きな魅力です。このように大学病院のローテーションは特に中身の濃い時間を過ごすことができます。
市中病院での研修:飯塚病院
一週間のスケジュール
  • 術前カンファレンス、週末の症例の共有
    部長回診、手術(膝グループ)、外来
  • 手術(股関節グループ)、外来
  • 手術(膝グループ)、外来
  • 術後カンファレンス、手術(股関節グループ)、外来
  • 手術、外来
  • オンコールまたは休み
  • オンコールまたは休み
市中病院での研修は、整形外科におけるcommon diseaseと呼ばれるような外傷や変性疾患を中心に、その診断と治療について基本的な知識と手技を学ぶことができます。整形外科を専門として仕事をするための基礎となる部分を習得することが目標になります。
外来日
1週間に2日が外来日になります。(曜日は担当によって異なります。)
ローテーターの先生の外来は、新患および再診の患者さんを合わせて、1日に診療する患者数は15人程度です。正午前後には外来を終了することができ、午後から手術を入れることも可能です。外来で方針に悩む症例がある場合は、気兼ねなく常勤の上級医に相談することができ、的確なアドバイスを頂くことができます。
手術日
整形外科での定例手術は毎日行っております。飯塚病院は、地域の中核病院であり、3次救急医療機関であることから、多くの外傷患者が来院、搬送されます。そのため、予定手術に加えて、多くの緊急手術も行っています。
例えば、大腿骨近位部骨折の症例は、深夜でなければ、可能な限り同日に手術をするようにしています。小児の骨折や開放骨折などの緊急性の高い外傷は深夜でも緊急的に手術を行います。自分が初診から担当している症例は、基本的には執刀させてもらえます。上級医の先生が、指導的助手として手術中も細かいところまで丁寧に指導してくださるため、安心して手術を行うことができます。
また、自分で経験できる手術の症例数やバリエーションは驚くほど多く、私が研修した1年での手術執刀数は130例位でした。ローテーターの先生は、股関節グループ、膝関節グループ、外傷グループに4ヶ月ごとに配置され、バランスよく多様な症例を経験することができます。
回診
毎週月曜日の13時より始まります。整形外科疾患で入院中の患者さんを回診し、自分の担当患者さんの1週間の経過を部長の先生に報告し、必要な場合は治療方針もアドバイスをもらいます。
術前カンファレンス
毎週月曜日7時50分より始まります。翌週に予定されている全ての手術症例に関して、スタッフ全員に情報共有します。自分の担当患者の症例提示は自ら行い、術前に手術適応や術式に関して、上級医の先生方にアドバイスをしてもらいます。
術後カンファレンス
毎週木曜日午前8時頃より始まります。術後の症例のレントゲン画像を提示しながら、術中所見などについてスタッフ全員で確認します。手術に問題がなかったかをみんなで確認するとともに、リハビリなどの後療法などについても相談することができます。
休みの日
休日はオンコール制となっております。常勤の上級医の先生が日直や当直をしており、緊急手術が必要な場合にはローテーターの先生にも連絡があり、上級医の先生と一緒に診療にあたります。特に緊急症例に関しては、上級医の先生の手技を見ることで、様々な状況に応じて、どのように対応すればよいのかがよく分かるようになります。
オンコールでない日は、緊急手術に呼ばれることはありませんので、福岡市まで遊びに行ったり、自宅でゆっくりしたりして過ごしています。
臨床研究
学会発表や論文執筆を行える環境も充実しています。昨年は、常勤の上級医の指導の下、ローテーター全員が学会発表、論文執筆ともに行いました。また、英語論文もやる気さえあれば執筆可能で、実際に昨年度はローテーターの先生が英語論文を執筆し、英文医学雑誌に受理されています。診療の合間に研究を行うことで、より充実した研修ができます。
専門病院での研修:福岡市立こども病院
一週間のスケジュール
  • 総回診、外来または手術
  • 新患カンファレンス、手術
  • 総回診、外来または手術
  • 術前カンファレンス、手術
  • 総回診、外来または手術
  • 休み(オンコール)
  • 休み(オンコール)
小児期の運動器疾患(整形外科疾患)は比較的稀であり、一般診療で遭遇する機会も少なく、「どう対応すればいいのか?」を学ぶ機会も限られます。一方、小児期の問題はその後の成長に大きな影響を及ぼすため、適切な対応が求められます。
九州大学整形外科のローテート先には福岡市立こども病院、福岡県こども療育センター新光園、北九州市立総合療育センター、佐賀整肢学園こども発達医療センターといった小児整形外科に特化した病院にも含まれており、診療の幅を広げることが可能です。
経験できる主な症例
四肢・関節
  • 発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)
  • ペルテス病
  • 大腿骨頭すべり症
  • O脚、X脚、ブラウント病
  • 手の先天異常(母指多指・合指・多指・多合指・裂手)
  • 足の先天異常(母趾多趾・合趾・多趾・多合趾・裂足)
  • 先天性絞扼輪症候群
  • 肩甲骨高位症(スプレンゲル変形)
  • 化膿性関節炎
  • 四肢骨折、外傷
  • 内反肘などの四肢の形態異常
脊椎
  • 脊柱側弯症(特発性、先天性、麻痺性、症候性)
  • 脊柱後弯症
  • 環軸椎回旋位固定
  • 環軸椎亜脱臼(脱臼)
  • 斜頸(炎症性、筋性、眼性)
  • 頚部痛、腰痛、腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎分離症/腰椎分離すべり症
  • 腰椎低形成性すべり症
  • 二分脊椎
外来日
8時頃に出勤し、病棟を回診して入院患者を診察します。
外来診療の時間は9~17時です。
基本的に新患の初期対応は全てローテーターが行い、その後、常勤医へ相談しつつ、検査後には一緒に診察を行います。再診も全て常勤医の指示を仰ぎ、今後の治療方針を決定します。ここで多くの小児整形外科疾患を、専門医による手厚い指導のもとで経験することができます。
手術日
7時30分頃に出勤し、病棟を回診して入院患者を診察します。
1例目手術の搬入時間は8時30分です。
術後に問題がなければ、17時30分頃に定時で帰宅することが多いです。
脊柱側弯症手術など、大きな手術の後は集中治療室での術後管理が必要であり、常勤の専門医の指導のもと、やや遅い時間まで院内で待機します。
小児整形外科疾患に対する手術症例を多く経験することができ、一般病院ではなかなか経験できない症例が多く、非常に勉強になリます。
総回診
月・水・金曜の9時30分より開始。
整形外科病棟にて医師・病棟看護師・理学療法士などで術後カンファレンスを行った後、全員で入院患者さんの回診&包交を行い、治療経過などの情報を共有します。
カンファレンス
新患外来
火曜の7時45分より開始。この日は少し早めのスタートです。
前週の全ての新患に関して情報共有します。対応が難しい症例は意見を出し合い、今後の方針を決定します。自分以外のローテーターが初期対応した症例も学べます。
術前
木曜の16時頃より開始。
翌週の全ての手術症例に関して情報共有します。自分以外のローテーターが担当する症例も学ぶことができます。
休みの日
オンコール制です。
ローテーター4名で担当する日を均等に割り振ります。当番日は9時30分に出勤し、病棟回診、包交をまとめて行います。急患対応の依頼があれば、併せて診療を行います。
当番日以外は、担当患者さんの状態が落ち着いていれば基本的にフリーです。
趣味に没頭する、ゆっくりする、家族や友人との大事な時間を過ごす、旅行・・・
プライベートも充実させましょう!
臨床研究
医療にはわかっていないことはたくさんあります。
それは小児整形外科領域においても同じです。
今後の医療の発展には臨床研究が欠かせませんが、何十年も前から保管されている紙カルテ、電子カルテの情報には、それにつながるヒントが多く隠れています。
専門医の指導のもとで研究も行い、学会発表論文執筆を行える環境も充実してます。診療と同時に研究も行うことで、より充実した研修ができます。
専門病院での研修:総合せき損センター
一週間のスケジュール
  • 術前カンファレンス、手術
  • 術前カンファレンス、手術、褥瘡回診
  • 総回診または抄読会、手術
  • 術前カンファレンス、手術
  • 術後カンファレンス、手術
  • オンコールまたは休み
  • オンコールまたは休み
日々の生活
7時半頃に出勤し、病棟回診を行います。8時頃からカンファレンスで術前・術後及び相談症例の提示を行います。
手術は9時搬入です。脊椎専門の病院ですので、長時間に及ぶ手術も時折ありますが、基本的には定時で帰宅することが多いです。オン/オフがはっきりした職場環境です。
手術以外の時間は、担当となった患者の診察・検査(脊髄造影検査など)などを行います。
総合せき損センターの大きな特徴として、入院後に各種検査を行い、そのまま手術、術後リハビリまで一貫して診ることが挙げられます。自分自身で診察した神経学的所見・画像所見を基に、今後の方針について指導医とディスカッションを行うことで、脊椎疾患への理解を深めることができます。
手術
ローテーターは外来を行うことはなく、月曜から金曜まで毎日手術に入ります。自分の担当する症例の手術に入りますが、基本は第一助手として手術に入り、執刀する指導医から手術の注意点やコツを教えてもらいながら日々を過ごします。脊椎手術に慣れてくると、展開やスクリュー挿入などもさせてもらえるようになり、多くの手術手技を身につけることができます。
総回診・褥瘡回診
・水曜日には隔週で総回診があります。
医師・看護師・理学療法士・ソーシャルワーカーなど多職種で回診を行うことで、自宅への退院に向けての流れを全員で共有します。脊髄損傷医療の難しさを知る経験ができます。

・火曜の夕方には毎週褥瘡回診があります。
脊髄損傷患者はしばしば褥瘡を併発します。意外と触れる機会の少ない褥瘡治癒の過程を毎週見ることができます。せき損センター以外の病院でもとても役に立つ経験です。
カンファレンス
月・火・木は術前カンファレンス、金は術後カンファレンスがあります。
適宜、相談症例も提示しアドバイスをもらうことができます。スタッフの先生方は皆、脊椎が専門なので多くの意見をもらうことができます。
活発な議論が交わされるので、一年を通してカンファレンスで得た知識は自分自身の大きな財産になります。
休日
オンコール制。
ローテーターで均等に分担します。前の月に希望調査があるのでとても公平です。
術後の患者がいれば、診察に出勤することはありますが、それが終われば基本的には自由な時間が確保可能です。
緊急症例
数多くの外傷症例が急患としてせき損センターに運ばれてきます。遠方からはヘリで搬送されてくることもしばしばあります。診察・各種検査は、コメディカルを含めた多くのスタッフが協力して行うことで、少しでも早く手術室へ搬入できるようにします。
必要があればその日のうちに緊急で手術を行い、術後のリハビリも退院までせき損センターで行います。
専門性の高い脊髄損傷患者のリハビリテーションを間近で見ることができるため非常に勉強になります。
臨床研究・抄読会
年に1回学会発表を行います。
指導医から与えられたテーマを基に、学会発表の準備を行います。学会発表を積極的に行う雰囲気が病院全体にあるため、熱心な指導を受けることができます。論文作成まで指導してもらえるので、研修がより充実したものになります。
抄読会は当番制で行います。論文を読むだけにとどまらず、与えられたテーマに関して掘り下げ、医局員全員にプレゼンテーションを行います。抄読会と言うよりは、勉強会の雰囲気で、とても知識が深まります。
経験できる主な症例
外傷
  • 脊髄損傷:非骨傷性含む
  • 椎体骨折:脱臼骨折、破裂骨折など
頚椎・胸椎
  • 頚椎症性脊髄症
  • 頚椎症性神経根症
  • 頚椎症性筋萎縮症
  • 環軸椎亜脱臼
  • 胸髄症
  • 頚胸椎後縦靭帯骨化症
  • 頚胸椎黄色靭帯骨化症
腰椎
  • 脊柱管狭窄症
  • 変性すべり症
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎後縦靭帯骨化症
  • 腰椎黄色靭帯骨化症
その他
  • 側弯症:特発性側弯、変性側弯など
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