具体的内容: 哺乳類の脊髄は一旦損傷を受けると再生しないと考えられていますが、昔から新生児の分娩時に生じる脊髄損傷は治癒しやすいことが知られていました。このことから、私たちは生後間もない哺乳類には脊髄を再生する能力が備わっており、再生の乏しい成人の脊髄損傷治療へのヒントがあるのではないかと考えました。 そこで、新生仔マウスを用いた脊髄損傷モデルを作成し解析を行ったところ、神経細胞や軸索が経時的に損
具体的内容: 末梢神経は損傷しても徐々に再生しますが、脳や脊髄などの中枢神経はほとんど再生しません。そのため脊髄損傷後には四肢麻痺などの後遺障害が生じ、多くの患者さんが苦しんでいます。これは脊髄損傷後、損傷部に細胞外マトリクス(生体の細胞外に含まれる不溶性物質、各種コラーゲンなどを含む)とアストロサイト(神経系を構成する細胞の1つ、中枢神経で最も多い細胞)から構成される瘢痕組織が形成されるためであ
具体的内容: クラッシュ症候群(外傷性横紋筋融解症)は地震や戦争、テロ等の災害時に倒壊現場から救出された患者の主たる死因として知られており、筋組織の圧挫が解除されて生じる虚血再灌流障害により発生すると理解されています。治療方法に関しては、大量輸液療法や血液透析療法しか確立されておらず、新規治療方法の開発が望まれています。 虚血再灌流障害では、虚血部位の再酸素化により産生される活性酸素により炎症が惹
具体的内容: 発生や細胞が分化する過程で重要な役割を果たす転写因子を強制発現させることにより、特定の細胞の形質を変化させることが出来ます。これはノーベル医学生理学賞を受賞された、山中伸弥先生が報告された技術の1つでリプログラミングと呼ばれています。神経細胞(ニューロン)の発生において重要な働きを担っているNeurgnin2という転写因子を瘢痕アストロサイトに強制発現させるとどうなるかについて明らか