九州大学歯学部との共同研究で、炭酸アパタイト(CO3Ap)ブロックの開発・評価(図1)を行っています(Tsuru K, Kanazawa M, et al. Materials 2017)。これまで骨の無機組成と同成分であるCO3Apのブロックを生成することは、焼結による熱分解によって困難でした。リン酸水素カルシウム二水和物を前駆体としたCO3Apブロックの生成が可能となり、今回動物実験の結果(図)、ハイドロキシアパタイト(HA)と比べてCO3Apブロックの優れた吸収性を明らかにしました(Kanazawa M, et al. J Mater Sci Mater Med 2017)。骨形成に関しても優れた結果が得られており、今後HAやβ-TCPに変わる新しい骨補填材として普及していくことが期待されます。
分節型骨欠損の再建は整形外科における大きな難題として残っています。ハニカム構造を有する人工骨はチャネルにより骨端同士を接続し骨再建を促すことができる可能性があります。本研究では骨ミネラル成分である炭酸アパタイトからなるハニカム人工骨を10 mm、15 mm、 20 mm長のウサギ分節型骨欠損に移植し、その骨再建能を評価しました (図2)。移植後4週と12週で10 mm、15 mm、 20 mm長のハニカム人工骨は、内部に新生骨や血管の形成を促すことができました(図3)。分節型骨欠損の治療において炭酸アパタイトハニカム人工骨が有望であることを報告しました(Shibahara K, et al. ACS Appl Bio Mater 2021)。
図1
図2
図3