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胸椎後縦靭帯骨化症における手術関連予後予測因子の検討

多施設後ろ向き研究

協力施設:九州大学病院、総合せき損センター、大分整形外科病院、下関市民病院、JCHO九州病院、九州医療センター、九州労災病院、九州中央病院、福岡市民病院、佐田病院

 

胸椎後縦靭帯骨化症(胸椎OPLL)による脊髄圧迫は重度の脊髄症をきたすことがあります。手術は最も効果的な治療ですが、術後に麻痺が増悪するなど、手術治療の結果が思わしくない場合もあるため、胸椎OPLLに対して手術を行った症例を後ろ向きに評価し、その術後成績に影響しうる因子について検討を行いました。

2000年から2010年の間に手術施行した胸椎OPLLの55例の身長や体重、既往歴などの患者基本情報、OPLLの形状や発生高位、手術方法、手術成績(JOAスコア)、合併症の有無などを調査し、術後成績に直接影響する因子を統計学的に評価しました。

術後に神経学的な回復が見られたのは33例、悪化にした症例は10例でした。術後の神経機能は、脊椎固定を行った症例のほうが除圧のみを行った症例に比べてより改善したという結果でした。術式別での検討では、後方除圧固定術を行った症例が後方除圧のみの症例や後方アプローチでの前方除圧+後方固定術を行った症例より良好な臨床成績でした(表1)。また、除圧範囲より固定範囲が短い症例や、手術中に髄液漏が生じた症例において、術後の臨床成績が不良となることが分かりました(表2・表3)。

本研究は以下の医学雑誌に掲載されました。

Surgery-related predictable risk factors influencing postoperative clinical outcomes for thoracic myelopathy caused by ossification of the posterior longitudinal ligament: a multicenter retrospective study.

Saiwai H, Okada S, Hayashida M, Harimaya K, Matsumoto Y, Kawaguchi KI, Kobayakawa K, Maeda T, Ohta H, Shirasawa K, Tsuchiya K, Terada K, Kaji K, Arizono T, Saito T, Fujiwara M, Iwamoto Y, Nakashima Y.

J Neurosurg Spine. 2019 Dec 27:1-7. doi: 10.3171/2019.10.SPINE19831.

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