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Trabecular metalを用いたステムが人工股関節置換術後の骨リモデリングに与える影響

―多施設前向きランダム化試験-

協力施設:九州大学、愛媛大学、三重大学、藤田保健衛生大学、横浜市立大学附属市民総合医療センター、昭和大学藤が丘病院、日進おりど病院、長田病院整形外科、静岡医療センター

 

 セメントレス人工股関節全置換術における人工関節周囲の骨量減少は重大で未解決の課題です。大腿骨に挿入するステム近位の表面に多孔性のタンタルム素材 (Trabecular metal)を使用することで (図1, 2)術後早期に生じる人工関節周囲の骨量減少を抑制することが予測されます。そこで今回、ステム近位にTrabecular metalを使用し、術後の骨量減少を抑制できるかどうかを、多施設共同ランダム化試験を行い検証しました。

2012年10月から2014年9月までの期間に、発育性股関節形成不全による2次性変形性股関節症の診断となった20歳から75歳の118症例(男性11例、女性107例)を前向きに多施設で登録しました。ステム近位に多孔性のタンタルム素材を用いた群 (Trabecular metal群)と、従来のファイバーメッシュ加工を施した群 (従来群)の2群にランダムに症例数が等しくなるように割り当てました。術後1週、6か月、12か月、24か月それぞれで骨密度測定を行い、日本整形外科学会股関節機能判定基準 (JOAスコア)を同時期に評価しました。

結果、Trabecular metal 群では従来群と比べ、ステムの近位側 (Zone 1, Zone 7)で、全ての計測時点において有意に骨密度が高かったです (図3)。またTrabecular metal 群では、計測期間中、Zone 1 (ステム近位外側), Zone 5, Zone 6 (ステム内側の骨幹端から骨幹部)で有意な骨量減少は認めませんでした。JOAスコアは両群で同等の改善を認めました。

本研究から人工股関節置換術後の骨量減少に関して、従来型ステムと比べ、近位にTrabecular metalを用いたステムの優位性が明らかとなりました。

 

 

本研究は以下の医学雑誌に掲載されました。

Effects of porous tantalum on periprosthetic bone remodeling around metaphyseal filling femoral stem: a multicenter, prospective, randomized controlled study.

Motomura G, Mashima N, Imai H, Sudo A, Hasegawa M, Yamada H, Morita M, Mitsugi N, Nakanishi R, Nakashima Y.

Sci Rep. 2022 Jan 18;12(1):914. doi: 10.1038/s41598-022-04936-2.

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