－多施設共同コホート研究（FRANK Registry）－

協力施設：九州大学、近藤リウマチ整形外科クリニック、九州医療センター、福岡赤十字病院、ピーエスクリニック、千代田病院、浜の町病院、千早病院

FRANK Registry ( https://frank-registry.org )

関節リウマチの治療効果をさらに改善させるために、それぞれの関節リウマチ患者の満足度を理解し、治療満足度に影響する因子を同定することは非常に重要です。しかしながら、関節リウマチの治療にかかる費用は年々上昇しているにもかかわらず、治療費に関連した患者満足度に影響する因子についてはあまり知られておりません。

そこで、2017年3月から2020年8月までにFukuoka Rheumatoid Arthritis Network (FRANK) Registryにて登録された2235名（男性406名、女性1829名）の関節リウマチの患者について、性別や年齢、罹病期間などの臨床データやアンケートによる生活の質の調査、患者満足度について情報を収集しました。

関節リウマチ患者において、治療費、治療効果、日常生活動作、治療全般の4つの項目において、「非常に満足」「満足」とした患者はそれぞれ治療費49％、治療効果72％、日常生活動作58％、治療全般66％でした（図1）。それぞれの満足度に影響する因子を調査するために多変量解析を行ったところ、b/tsDMARDsの使用は治療効果および日常生活動作の満足度を上昇させるが、治療費の満足度を下げるということが明らかとなりました。高齢、女性、筋骨格系の手術既往があることは治療費の満足度を上げる結果であり、また、疾患活動性が低く、EQ5Dスコアが高い患者はすべての項目で高い満足度が得られていました。

本研究における調査においては、治療費、治療効果、日常生活動作、治療全般の4項目において、患者満足度は総じて高い傾向にありました。

本研究は以下の医学雑誌に掲載されました。

Factors affecting patient satisfaction related to cost and treatment effectiveness in rheumatoid arthritis: results from the multicenter observational cohort study, FRANK Registry.

Fujiwara T, Kondo M, Yamada H, Haraguchi A, Fujimura K, Sakuraba K, Kamura S, Fukushi JI, Miyahara H, Inoue Y, Tsuru T, Shuto T, Yoshizawa S, Suematsu E, Miyamura T, Ayano M, Mitoma H, Arinobu Y, Niiro H, Ohishi M, Hirata A, Tokunaga S, Takada A, Hara D, Tsushima H, Akasaki Y, Ikemura S, Sueishi T, Toya M, Sakuragi T, Tsutsui T, Kai K, Arisumi S, Nakashima Y.

Arthritis Res Ther. 2022 Feb 22;24(1):53. doi: 10.1186/s13075-022-02746-5.