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脆弱性大腿骨近位部骨折の退院後3年間の骨粗鬆症治療における無治療と非継続に関する予測因子について

九州北部地区における多施設共同前向きコホート研究

協力施設:九州大学、唐津赤十字病院、JCHO九州病院、製鉄記念八幡病院、福岡赤十字病院、九州医療センター、好生館、飯塚病院、福岡市民病院、九州中央病院、九州労災病院、浜の町病院、佐田病院、原三信病院、済生会八幡総合病院、古賀病院21、福岡東医療センター

骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折は、生活の質を低下させ、生命予後をも悪化させることが知られています。骨粗鬆症治療薬の使用は、二次的な脆弱性骨折の予防に有効ですが、大腿骨近位部骨折後の骨粗鬆症治療薬の服用率や服用の継続率が低いことが報告されています。

そこで、60歳以上の脆弱性大腿骨近位部骨折患者497例を対象に、骨粗鬆症治療薬の服薬状況について6ヶ月ごとに3年間アンケート調査を行い、骨粗鬆症治療薬の服薬状況と継続的な服用に影響する因子について検討しました。大腿骨近位部骨折後の骨粗鬆症薬の服用がない群(NT)、服用を途中で中断した群(NP)、3年間服用を継続した群(P)の3群間でベースライン特性を比較し、無治療群(NT vs. NP/P)および非継続群(NP vs. P)に関連する共変量を明らかにするために多変量解析を実施しました。結果 服用なし群、服用中断群、3年間服用継続群の患者数はそれぞれ219人(44.1%)、151人(30.4%)、127人(25.5%)でした。無治療と関連する因子は、男性、慢性腎臓病、骨粗鬆症の治療歴なし、退院時の低Barthel Index(BI)でした。非継続と関連する因子は、退院時の低BIのみでした。退院時の低BIと関連する因子は、男性、高齢、転子部骨折、6日以上の手術遅延でした。以上より退院時の低BIは、骨粗鬆症治療の無治療および非継続の両方の危険因子であり、積極的なリハビリや早期手術などのADLを改善するための適切な介入は、骨粗鬆症治療の継続にもつながる可能性があることが明らかになりました。

本研究は以下の医学雑誌に掲載されました。

Predictive factors of non-treatment and non-persistence to osteoporosis medication after fragility hip fractures at 3 years after discharge: a multicentre, prospective cohort study in the northern Kyushu district of Japan.

Kanahori M, Matsumoto Y, Fujiwara T, Kimura A, Tsutsui T, Arisumi S, Oyamada A, Ohishi M, Ikuta K, Tsuchiya K, Tayama N, Tomari S, Miyahara H, Mae T, Hara T, Saito T, Arizono T, Kaji K, Mawatari T, Fujiwara M, Takasaki M, Shin K, Ninomiya K, Nakaie K, Antoku Y, Iwamoto Y, Nakashima Y.

Arch Osteoporos. 2021 Sep 13;16(1):132. doi: 10.1007/s11657-021-00988-5.

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