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脱分化型軟骨肉腫における新規治療法の開発

具体的内容:

軟骨肉腫は原発性悪性骨腫瘍の中で2番目に多い腫瘍ですが、その1割に脱分化型軟骨肉腫というタイプが存在します。脱分化型軟骨肉腫は5年生存率10%程度と非常に予後が不良である上、有効な全身治療が存在しないことが問題となっています。近年、脱分化型軟骨肉腫はその他の軟骨肉腫と異なったDNAメチル化状態を示すことが報告されました。DNAメチル化とは遺伝子発現のスイッチのようなもので、遺伝子のプロモーター領域がメチル化されていると発現が抑制されることが知られています(図1)。私たちはこのDNAメチル化に注目し研究を進めたところ、脱分化型軟骨肉腫では①PRKCZというキナーゼの一種がDNAメチル化により発現が抑制されていること、②PRKCZはATM/CHK2という経路を活性化させ、アポトーシスを誘導すること、③DNAメチル化阻害剤であるdecitabineを使用すると脱分化型軟骨肉腫のアポトーシスを誘導できること、を発見しました(図2)。この研究をまとめた論文は、脱分化型軟骨肉腫に対する初めての有効な治療法の可能性を示唆する研究としてBritish Journal of Cancer誌に掲載されました(Shimada E, Matsumoto Y, et al., Br J Cancer., 2022)。

図1  DNAのメチル化

図2 脱分化型軟骨肉腫におけるPRKCZ-ATM/CHK2経路の役割

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