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ペリオスチンに着目した関節拘縮の病態生理の解明

具体的内容:

関節拘縮は外傷治療における局所の固定や臥床安静、手術侵襲により引き起こされ、その頻度は高く、治療に難渋することも多いため、整形外科領域において重要な課題ですが、その病態や発生メカニズムは明らかにされていません。

我々は骨格筋損傷モデルを用いた解析にて、骨格筋損傷後の修復過程において細胞外マトリックス蛋白であるペリオスチン(Postn)が線維芽細胞の浸潤を促進することによって線維性瘢痕の形成を悪化させることを報告しました(Hara et al. JBJS 2018)。我々は独自に作成した関節拘縮マウスモデルにて拘縮した関節における関節包を解析したところ、網羅的遺伝子発現解析にてPostnの遺伝子発現は関節拘縮を生じていない対照群と比較して有意に上昇していました。そこでPostnノックアウトマウスを用いた解析を行い、Postnが骨髄由来の線維芽細胞の遊走能を促進させることで、関節包で線維芽細胞が増加し線維化が進行した結果、関節拘縮が進行することを明らかにしました。またPostnの中和抗体を用いてPostnの線維芽細胞の遊走能を阻害することで関節拘縮の進行を予防できることがわかりました。(投稿中)  ヒトにおいても関節拘縮でPostnの発現が上昇することを明らかとなったため、動物実験の知見をヒトに応用し、関節拘縮の病態生理に迫る研究を行っています。

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