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瘢痕アストロサイトの可塑性の検討

具体的内容:

脊髄損傷後に正常アストロサイトは炎症性サイトカインによって活性化され、反応性アストロサイトへと形態が変化し、損傷中心に向かって遊走し、組織修復と運動機能回復をもたらします。反応性アストロサイトは時間とともに瘢痕形成アストロサイトへ形態が変化し、グリア瘢痕を形成します。当研究室では正常アストロサイトから反応性アストロサイトへ変化する過程は一方向ではなく環境依存性であることを世界で初めて明らかにしました(Hara, M. et al. Nature Medicine, 2017)。一方、グリア瘢痕を形成する瘢痕アストロサイトは経時的に変化するかどうかは分かっていません。瘢痕アストロサイトを経時的に採取して遺伝子発現解析を行ったところ、瘢痕アストロサイトは時間とともに軸索の再生を化学的に阻害する物質である、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン関連遺伝子の発現が低下していることを明らかにしました。また、瘢痕アストロサイトを正常脊髄に移植したところ、瘢痕アストロサイトの周囲の正常アストロサイトが瘢痕アストロサイトに変化したことを見出しました。瘢痕アストロサイトは周囲の正常アストロサイトを瘢痕アストロサイトに誘導することによってグリア瘢痕を維持している可能性が示唆されました。

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