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クラッシュ症候群の発生メカニズム、新規治療法に関する研究

具体的内容:

クラッシュ症候群(外傷性横紋筋融解症)は地震や戦争、テロ等の災害時に倒壊現場から救出された患者の主たる死因として知られており、筋組織の圧挫が解除されて生じる虚血再灌流障害により発生すると理解されています。治療方法に関しては、大量輸液療法や血液透析療法しか確立されておらず、新規治療方法の開発が望まれています。

虚血再灌流障害では、虚血部位の再酸素化により産生される活性酸素により炎症が惹起され、局所に好中球が遊走・活性化すると、炎症が増強されて筋崩壊が進行します。そして、血中に大量放出されたミオグロビンにより急性腎障害が誘発されます。そこで、好中球の遊走・活性化を直接阻害することで、炎症の増幅を制御し、それに続く筋破壊を停止させ、クラッシュ症候群の病態を改善できる可能性があると考えました。

必須微量元素である亜鉛は、細胞内シグナル伝達の要素として免疫系で重要な役割を果たしており、細胞内亜鉛濃度を下げると好中球の機能が阻害されます。そこで我々はクラッシュ症候群においても細胞内亜鉛シグナルを阻害することで好中球の遊走・活性 化を阻止し、炎症が制御可能となるのではないかと考え、細胞内透過性のある亜鉛キレート剤(TPEN)を再灌流直後にクラッシュ症候群モデルマウスに投与したところ、患肢の筋組織で好中球の遊走、炎症、筋崩壊量は軽減し致死性が大幅に改善しました。

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