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新生仔マウスの脊髄損傷後の再生能力に関する研究

具体的内容:

哺乳類の脊髄は一旦損傷を受けると再生しないと考えられていますが、昔から新生児の分娩時に生じる脊髄損傷は治癒しやすいことが知られていました。このことから、私たちは生後間もない哺乳類には脊髄を再生する能力が備わっており、再生の乏しい成人の脊髄損傷治療へのヒントがあるのではないかと考えました。

そこで、新生仔マウスを用いた脊髄損傷モデルを作成し解析を行ったところ、神経細胞や軸索が経時的に損傷脊髄に増加し目覚ましい機能回復を遂げることが分かりました。また、成人の神経再生を阻害するグリア瘢痕と呼ばれる瘢痕が新生仔ではほとんどできないことも分かりました。

この脊髄再生のメカニズムについて更なる解析を行ったところ、脊髄の直達外力による損傷の後に二次的に生じる炎症反応カスケード(いわゆる二次損傷)が新生仔では生じにくいことや、血液中に存在好中球の脊髄への浸潤がほとんど見られないことを発見しました。また、Olig2という転写因子を高発現する細胞が新生仔の脊髄損傷部に多数存在していることを発見しており、この細胞が脊髄再生に及ぼす効果について現在解析を進めています。

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