具体的内容:
寛骨臼移動術(Transposition osteotomy of the acetabulum: TOA)を施行した159例、172股の発育性股関節形成不全(DDH)を対象にTHA conversionをエンドポイントとしたときの累積関節温存率を調査した結果、術後20年で79.7%であった(図)。過去の骨盤骨切り術の報告では術後20年で60~80%と言われており、当科の成績は良好であった。関節温存に影響を与える因子は、術前病期のみで、手術時年齢は関連がなかった。実際の術前病期別の術後20年の累積関節温存率は、術前病期が前期・初期で86.7-93.3%と良好であるのに対して、進行期では54.8%と低かった。そのため、症状があるDDH患者では関節症性変化が進行する前に手術を受けた方がよいと考えられた(Nakashima Y, et al. Bone Joint J 2022)。