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寛骨臼移動術(TOA)前後のスポーツ活動

寛骨臼形成不全に伴う二次性の変形性股関節症 (OA)が多い我が国において、寛骨臼移動術に代表される骨盤骨切り術の意義は依然として大きく、その長期成績は安定しているといえます。しかし、寛骨臼移動術後のスポーツ活動を認めるかどうかについては意見が分かれるところです。というのも、術後にスポーツをすることで、OAが悪化し、人工股関節置換術への移行が必要になるかもしれないという危惧があるからです。そのため、本研究では寛骨臼移動術後のスポーツ活動がOA病期進行に影響するか否かを調査いたしました。その結果、寛骨臼移動術後はスポーツ参加率 (31%→55%)、活動性スコアとも有意に改善し、臨床スコアも良好でした。スポーツの種類は水泳やサイクリングなどのlow impact sportsが中心でしたが、テニスやジョギングなどのintermediateからhigh impact sportsを行う方も一定数おり、様々な種目が行われておりました。High impact sportsのみにしぼったサブ解析も含め、スポーツ参加および活動性スコアは寛骨臼移動術後のOA進行に関連しなかったことを報告し、日本整形外科学会奨励賞を受賞いたしました (Hara D, et al. Am J Sports Med 2017)。本研究の結果は寛骨臼移動術後のスポーツ参加について患者さんに助言する際に有用となりうると考えています。

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