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THA術前後のスポーツ活動調査、THA術後のXLPE摩耗解析

高齢化社会の到来により、変形性関節症に代表される関節疾患は増加しています。関節症が進行すると、痛みのために歩行障害をきたし、日常生活に著しい制限が生じてしまいますが、人工股関節置換術は、その痛んだ関節を人工物で置換することにより、劇的に痛みを緩和する手術です。当科におけるTHA術前後のスポーツ活動を調査し、TOAを施行された患者さんと年齢や性別などの患者背景をマッチングさせ、スポーツ参加率、活動性スコアを比較いたしました。その結果、スポーツ参加率は術後有意に増加(16%→31%)しており、ウォーキングや水泳、山登り、ゴルフなどを楽しんでおられました(図1)。THAを受けた患者さんは、TOAを受けた患者さんと比較して、術後のスポーツ参加率が有意に低かったものの、術後の活動性スコアには差が認められませんでした。THAはスポーツ参加と活動レベルを有意に増加させたこと、術後の活動量は患者背景をマッチングさせた状態であってもTHAとTOAの間で同等であったことを報告しました(Hara D, et al. J Arthroplasty, 2018)。本研究の結果はTHA術後のスポーツ参加、症候性の変形性股関節症に対する術式決定について患者さんに助言する際に有用となりうると考えております。

更に、THA術後10年以上の353股におけるXLPE(クロスリンクポリエチレン)摩耗を解析し、スポーツに関するアンケート回答が得られた278例におけるスポーツ参加の影響を調査した結果、XLPE摩耗にスポーツ参加の影響は認めず(図2)、極めて良好な耐摩耗性を維持していることを明らかにしました(第47回日本関節病学会学術集会奨励賞受賞、Harada S, Hamai S, et al. J Artif Organs 2021)。

図1:THA術前後のスポーツ活動

 

図2:Wear analysis(スポーツ有無別)

 

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