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THA術後のスポーツ三次元動態解析

ゴルフはTHA術後にプレーされることが多いスポーツで、多くの整形外科医はTHA術後にゴルフをプレーすることを患者さんに許可していますが、ゴルフスイング中の人工股関節の動態は不明で、脱臼の危険性などプレーを許可してよいか決定するエビデンスは乏しいのが現状です。そこで、イメージマッチング法を用いて、THA術後ゴルフを行っている患者さんのゴルフスイング時におけるTHA動態解析を行いました。37%に脱臼の原因となることがある人工関節同士の接触を最大外旋+伸展時に認め、過度の前方開角で寛骨臼カップを設置された例およびエレベートライナー使用例に有意に接触が多かったですが、接触例を含め脱臼肢位(極端な屈曲+内旋、伸展+外旋)や骨頭の不安定性を認めず、ゴルフはTHA術後に許容可能なスポーツであることを報告しました(Hara D, et al. Am J Sports Med 2016)。また、THAにおいてもイメージマッチング法はRMS値で並進0.5mm以内、回転0.5度以内の高い精度を示しました。本研究の結果はTHA術後にゴルフのプレーを希望される患者さんに助言する際に有用となりうると考えております。

リハビリでも使用されるエアロバイク動作の解析では、股関節に過度な可動域やインプラント間の接触を示す症例は認めず、THA術後に推奨できるスポーツと言えました(図4)。さらに、生体内データを用いたカップ設置シミュレーションを行うことで、cup前開き30°以上且つエレベートライナー使用時に、インプラント間で接触する可能性があることを示しました(Komiyama K, Hamai S, et al. Clin Biomech 2019)。レクレーショナルレベルですが、バレエやフラダンスに参加されている患者さんの解析も行っています(Komiyama K, Hamai S, et al. J Med Case Rep 2019)。術後のスポーツ参加や脱臼予防、インプラントの選択や設置へのフィードバックに役立つことが期待されます。

図1

 

図2

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